11 種類の授乳姿勢

ご自身と赤ちゃんに最適なお気に入りの姿勢を見つけるには、授乳姿勢をいくつか試してみてください。当社の画像ギャラリーをご覧になり、参考にしてください

a mother breastfeeding her baby

赤ちゃんの抱き方や授乳の方法には正解も不正解もありません。どのお母さまと赤ちゃんも自分たちが気に入る授乳の姿勢を見つけることができるでしょう。大切なことは、二人が快適に感じることです。1,2様々な授乳姿勢とテクニックを少し知っていると、特に赤ちゃんが大きくなり、外に出られるようになるつれて、もっと融通をきかせる必要が出てくるときに役に立ちます。

どの授乳姿勢をとる場合も、次のことを忘れないでください。

  • 授乳を始める前に、飲み物、お菓子、携帯電話など必要なものはすべて集めておいてください。また、先にトイレに行っておくことを忘れないでください。しばらくは立ち上がれない可能性があります。
  • 赤ちゃんが心地よい状態にしてください。どの姿勢をとるにしても、赤ちゃんは頭、首、背骨が曲がっていない状態で、安定して支えられている必要があります。
  • お母さまもリラックスして心地よく感じられるようにしてください。必要な場合はクッション、枕、丸めたタオルで背中や腕をサポートしてください。
  • 赤ちゃんが正しくラッチオンできていることを確認してください。心地よい授乳には良いくわえさせ方が欠かせません。
  • 赤ちゃんが上手にラッチオンできなかったり、授乳するとヒリヒリするようであれば、ラクテーション・コンサルタントまたは母乳育児の専門家のサポートを受けてください。授乳がもっと快適になるように、専門家の方々が赤ちゃんの支え方を教えてくれるでしょう。

1: レイドバック法またはリクライニング法

 レイドバック法(biological nurturingとも言われています)は、1初産婦の方がよく試される姿勢です。生まれた直後に赤ちゃんを胸またはおなかに置くと、健康的な赤ちゃんは本能的におっぱいに向かってなんとか進み、吸いつこうとします。この動きは「ブレスト・クロール」とも言われています。重力が赤ちゃんの上手なラッチオンを助けて、その位置に赤ちゃんをキープする一方で、肌と肌のふれあいが赤ちゃんの授乳に対する本能を刺激します。

レイドバック法は新生児だけではなく、何歳の赤ちゃんにも適しています。他の抱き方では赤ちゃんが上手におっぱいをくわえられず、授乳中に頭を触られるのを嫌がる場合、お母さまに強い射乳反射がある場合、または乳房が大きい場合は、この姿勢が特に有効です。イギリスの1児の母、Isabelも次のように気づきました。「大きなおっぱいと2.7 kgの小さな赤ちゃんという組み合わせだったので、最初の頃は授乳姿勢をとることが難しかったです。数週間かけて、『こうでなければならない』ということはないと気づきました。最終的には、赤ちゃんを私の上にうまく乗せて、主にリクライニング姿勢で授乳をしました。」

ゆるやかなリクライニングの方が、背中をつけて仰向けになるよりもおそらく快適なはずです。ご自身の身体を支えながら赤ちゃんが見えるように、クッションや枕を使用してください。

A mother is nursing her baby in the reclined position

2: 横抱き(クレードル)

これは授乳を思い浮かべるときに最もよくイメージする伝統的な姿勢です。この姿勢ではお母さまが上体を起こして座り、赤ちゃんを横向きにして、赤ちゃんの頭と首をお母さまの前腕部にのせて、赤ちゃんの身体をお母さまの胃のあたりにもってきて、赤ちゃんのおなかとお母さまのおなかが接する姿勢にします。3非常に一般的な姿勢ですが、これは他の抱き方のように赤ちゃんをしっかりサポートする姿勢ではないため、新生児の場合は必ずしも楽とは限りません。お母さまの後ろに枕やクッションを置き、赤ちゃんを支えている太ももまたは腕の上に授乳クッション置くと、お母さまがより支えられることになり、背中や肩にかかる負担を軽減します。授乳クッションを使う場合は、赤ちゃんの位置が高くなりすぎないか確認してください。乳首が痛くなったり、引っ張られたりしないように、おっぱいを自然な高さにキープする必要があります。

「横抱きが合っていたのでそうしていました。この姿勢は快適で、赤ちゃんを見つめながら座っているのが好きでした。」とイタリアの2児の母、Rachaelは言います。

A mother is nursing her baby with the cradle hold

3: 交差横抱き(クロスクレードル)

 この姿勢は横抱きに似ていますが、お母さまの腕の役割が逆になり、赤ちゃんの身体はお母さまの反対側の前腕に沿わせます。3これは、赤ちゃんの首や肩を支えることで、おっぱいをくわえる前に赤ちゃんが自分の頭を傾けられるようにするためです。交差横抱きは、新生児向けの素晴らしい授乳姿勢であり、小さい赤ちゃんや上手にくわえることが困難な赤ちゃんにも適しています。反対側の腕が赤ちゃんをしっかりと支えているため、お母さまが赤ちゃんの位置を調整できるようになり、空いている手でおっぱいの位置を直すこともできます。

イギリスの2児の母、Julieは、この姿勢のフレキシブルなところを気に入っています。「新生児の赤ちゃんを交差横抱きすることが多いです。この姿勢だと片方の手が自由になるため、同時に赤ちゃんの面倒を見ることができます。」

初めの頃は、赤ちゃんのあごを赤ちゃんの胸に押し付けてしまう可能性があるため、赤ちゃんの頭まわりを持たないでください。くわえ方が浅くなったり(乳首が赤ちゃんの口蓋ではなくて舌根に当たるような形)、乳首の痛みにつながる場合があります。赤ちゃんが大きくなると、この方法はもっと楽になり、赤ちゃんの頭をお母さまの手で支えられるようになります(上部画像参照)。

A mother is nursing her baby with the cross-cradle hold

4: フットボール抱き

 この姿勢(アンダーアームまたはクラッチとも言います)では、赤ちゃんを前腕に沿わせて座ります。赤ちゃんの身体は脇に抱え込まれ、脚は椅子の背またはお母さまが座っているものの方を向いています。3この姿勢は、お母さまが赤ちゃんの位置を調整しやすく顔がよく見える一方で、赤ちゃんをしっかりと支えることもできるため、初期の授乳で役に立つ姿勢の一つです。お母さまの身体の脇にぴったりと抱えられることで、赤ちゃんは安心感も得られます。乳房が大きめのお母さまの他に、帝王切開をしたお母さま、双子または早産児をもつお母さまも、この姿勢を好まれるかもしれません。

「一人目の娘のときは、彼女の頭の倍もあるKカップサイズでした。」とオーストラリアの2児の母、Amyは思い出します。「とても重いので、丸めたタオルをそれぞれのおっぱいの下に置いて持ち上げていました。また、フットボール抱きで授乳していましたが、おっぱいの大きさに圧倒されないようもっと上体を起こしていました。私は帝王切開の傷口があり、自分の身体の上で彼女を休ませることができなかったので、そういう意味でも良かったです。」

A mother is nursing her baby with the rugby ball hold

5: 添い乳

身体を横にすることは、リラックスした夜間の授乳やベッドまたはソファーでの授乳に最適で、帝王切開または縫合跡がある場合、座るよりも快適です。3お母さまと赤ちゃんは隣同士でおなかを向かい合わせにして横になる必要があります。

「帝王切開をしていたということもあり、また非常に疲れていたということもあって、わたしは夜間の授乳でどうしても起き上がれないことが何回もありました。」とイギリスの2児の母、Francescaは言います。「そこで、横になったまま授乳をすると、同時にリラックスもできることに気づきました。」 

「Maisieは舌小帯短縮症であるため、添い乳の姿勢以外ではくわえることができませんでした。あるラクテーション・コンサルタントがやり方を見せてくれました。この姿勢でいるほうが、赤ちゃんが母乳の流れの強さをコントロールできるようでした。赤ちゃんの口が大きくなると、普通の方法でくわえることがうまくなってきました。」とオーストラリアの2児の母、Sarahは言います。

A mother is nursing her baby in the side-lying position

6: 帝王切開後のレイドバック法

帝王切開をして、快適な授乳姿勢が見つからない場合は、3この姿勢が良いかもしれません。赤ちゃんの身体をお母さまの肩にかけてリクライニングすると、傷口に体重をかけたり圧迫したりせずに快適に授乳することができます。もしくは、添い乳を試してみることもできます。

A mother is nursing her baby in the laid-back position after a c-section

7: 縦抱き授乳またはコアラ抱き

縦抱きまたはコアラ抱きでは、赤ちゃんがお母さまの太ももをまたぐか骨盤の上に座り、授乳の際は赤ちゃんの背骨と頭が真っすぐ立っています。4お母さまが赤ちゃんをしっかり支えられる場合は、新生児でもこの抱き方をすることができますし、ひとり座りができる大きい赤ちゃんに授乳するにも便利な方法です。縦抱きまたはコアラ抱きは、吐き戻しや耳の感染症のある赤ちゃん(上体を起こしている状態を好むことが多い)にとって、最も快適な授乳姿勢であることが多いです。また、舌小帯短縮症または低緊張の赤ちゃんにも適しています。

「赤ちゃんが大きくなると、二人にとって快適で、赤ちゃんの身体を近くに感じることができたため、よく縦抱きをしていました。」とスイスの1児の母、Peggyは言います。「公共の場で授乳しているときも目立たずにすみます。」

A mother is nursing her baby in the upright position, also named koala hold.

8: 四つん這い(Dangle feeding)

この授乳姿勢では、赤ちゃんが仰向けになり、お母さまは四つん這いになって赤ちゃんに覆いかぶさり、赤ちゃんの口に向けて乳首をぶら下げます。4短期間この姿勢で授乳すると、乳腺炎などで乳房を強く押されたり触られたりしたくない場合に助かると言うお母さまもいます。重力が乳管閉塞の解消を助けると主張するお母さまもいますが、この説を支持する科学的証拠はまだありません。座りながら、ベッドやソファーで膝まづきながら、またはほぼ寝ている姿勢でも腕で支えながら、この授乳姿勢をすることができます。背中や肩を痛めないように、クッションや枕を使ってご自身の身体を支える必要がある場合があります。

「乳管閉塞があり、乳房内の詰まりを出す他の方法がうまくいかなかったとき、数回四つん這いの姿勢をとりました。この姿勢は助けになったようです。重力が私にとっては有利に働いたこと、赤ちゃんの角度と位置が普通の授乳とはまったく異なるので赤ちゃんがおっぱいから飲む方法も異なったことが、その理由だと思います。」とイギリスの2児の母、Ellieは言います。

四つん這いの姿勢はおそらく、いつもやりたいと思う授乳姿勢ではありませんが、他の方法と併用する必要があるときに役に立つ可能性があります。

「私は赤ちゃんが上手くくわえられないときに、この姿勢をとっていました。」とイギリスの2児の母、Lornaは言います。「最も快適な授乳方法というわけではありませんでしたが、そのときは赤ちゃんが吸いつくためなら何でもしていました。これがうまくいき、8か月目でも授乳を続けています。」

A mother is nursing her baby in the dangle position

9: 抱っこひもの中での授乳

抱っこひもの中で授乳するには少し練習が必要ですが、外に出られるようになったとき、上の子の面倒をみているとき、または軽い用事をこなしているときにも便利です。

赤ちゃんが下に置かれるのを嫌がったり、頻繁に飲んだりする場合にも便利です。アメリカの2児の母、Lindsayもそれに気づきました。「二人ともベビーキャリアをよく使っていました。外に出るときは、ストールを首のまわりで結んでベビーキャリアの上にかけ、カバーにしていました。赤ちゃんが寝るまでこうして授乳していました。」

通常、この方法は授乳に慣れており、頭を自力で上げたままにできる赤ちゃんに最も適しています。ラップタイプ、リングスリングやベビーキャリアなど、抱っこひもの種類を問わず授乳することができます。どれを使って授乳する場合も、赤ちゃんの顔を常に見ることができ、赤ちゃんのあごが赤ちゃんの胸に当たらないことを確認してください。

A mother is nursing her baby in a sling

10: ダブルフットボール抱き

ダブルフットボール抱き(ダブルクラッチとも言います)は、両手が比較的自由な状態で二人を並べて授乳できるため、双子にとって素晴らしい授乳姿勢です。4この方法で授乳するときは、特に初めの頃は、おそらく特別にデザインされた双子用授乳クッションを使う必要があります。このようなクッションは両方の赤ちゃんがずれないようにサポートし、帝王切開の場合はお母さまのおなかへの圧迫を最低限に抑えます。両手が自由になり、一人の赤ちゃんの授乳を邪魔せずに、もう一人の面倒をみられることにも気づくかもしれません。

「双子の赤ちゃんが生まれたとき、二人とも小さくて昼も夜も2時間おきの授乳が必要でした。何よりもまず授乳をやりきるためには、同時授乳が必要だということにすぐに気がつきました。」とイギリスの2児の母、Emmaは言います。「授乳クッションを使ってダブルフットボール抱きをしていました。」

双子の場合に試してみるとよい他の授乳姿勢としては、二人を十字に交差させて横抱きするか、一人をフットボール抱きしてもう一人を横抱きするか、ダブルリクライニングまたはダブル縦抱きするなどがあります。

A mother is nursing her baby with the double rugby ball hold

11: ダンサー・ハンド・ポジション

おそらくは、早産児、ダウン症などの症状、もしくは疾患または障がいがあるために、赤ちゃんがおっぱいに吸いついたままでいられない、または低緊張がある場合は、赤ちゃんの頭とおっぱいの両方を支えるこの抱き方を試してみてください。44本の指を片側にあてて親指をもう片側にあてた状態で、おっぱいを手で下から受けるところから始めてください。次に、おっぱいの前で親指と人差し指が「U」字型になるように、手を前に向けて動かしていきます。残りの3本の指はそのままおっぱいを下から支えます。赤ちゃんのあごの先が「U」字型の底の部分にある状態で、授乳の時は赤ちゃんのあごを親指と人差し指にのせて、お母さまの親指が優しく赤ちゃんの片方の頬を支えて人差し指がもう片方の頬を支えるようにしてください。この抱き方は赤ちゃんをしっかりと支えることができ、お母さまが赤ちゃんの位置を調整することができるだけでなく、赤ちゃんのくわえかたをちゃんと見ることができます。

A mother is nursing her baby in the dancer hand position
参考文献

1 Colson SD et al. Optimal positions for the release of primitive neonatal reflexes stimulating breastfeeding. Early Hum Dev. 2008;84(7):441-449.

2 UNICEF UK BFHI [Internet]. Off to the best start; 2015 [cited 2018 Feb].

3 Cadwell K. Latching‐On and Suckling of the Healthy Term Neonate: Breastfeeding Assessment. J Midwifery & Women’s Health. 2007;52(6):638-642.

4 Wambach K, Riordan J, editors. Breastfeeding and human lactation. Jones & Bartlett Learning; 2014. 966 p.

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